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冥探偵ジェダ~解答編~ ◆tcG47Obeas 冥王の城に、魔蟲の羽音が響く。 穴を抜け室を抜け通路を抜けて、羽音を立てて魔界蟲が降りたった。 魔蜂の女王はこの世界を統べる冥王に傅いた。 「ふむ、帰ったか」 ジェダは振り返りQ-Beeを迎えると、報告を促した。 Q-Beeは忠実に報告を開始する。 「49バン、ノガミアオイ。シタイカクニン。 45バン、ニア。リリスカラシボウヲカクニン。 22バン、グリーン。リリスカラシボウヲカクニン」 Q-Beeは確認した順番に報告を並べていく。 グリーンもリリスから確認した事は予想外だが、76番の報告に有った二つの首輪に合致する。 そのまま続けさせる。 「86バン、ヴィクトリア=パワード。クビワダケカクニン。 21バン、ククリ。シタイカクニン。 17バン、カナリア。シタイカクニン」 首輪だけ。 報告の内容にジェダは眉を顰める。 それは中身を誰かが持ち去ったと考えるべきだろうか。 あるいは中身が自分で歩き去ったと考えるべきだろうか。 だがそれ以前の答えが姿を見せる。 「タブン、40バン、タチカワミミ。セイゾンカクニン。 62バン、フルデリカ。シタイカクニン」 太刀川ミミの生存。 最早確定事項だろう。 ジェダは確認を始める。 「多分、というのはP-Beeの首輪が無いためか?」 「クビワツイテナカッタ。カオ、タチカワミミダッタ」 ふむと唸り考える。 「よくやった。首輪に入るP-Beeを一匹用意しておけ。 それが終われば通常の仕事に戻れ、ただし放送の前になったら一度戻って来るのだ」 ジェダは一旦Q-Beeを帰らせて、思案する。 とにかく太刀川ミミの為に新たな首輪を用意しなければならない。 それ自体はそう難しいことではない。 予備の首輪の用意は有るし、太刀川ミミに付けられているものは一般人用の通常の首輪だ。 通常の首輪なら数分もあれば用意できる。 そう、太刀川ミミ自身は通常の首輪で十分な参加者の筈なのだ。 にも関わらず、どうして未だ生きている? (首輪が爆発すれば死ぬはずだ) 首輪の爆発は全ての参加者を確実に殺傷せしめるだけの威力を持っている。 参加者本来の能力であれば耐え切れる者さえも、決して逃れる事ができない。 それは参加者全ての能力が等しく、そして個別に制限されているからだ。 参加者には二種類の制限が課されている。 それは会場全域を覆うフィールド状の物と、首輪から個別に発動している物だ。 まず前者の制限フィールドはジェダ以外の基本的な能力を制限する。 どれだけ強力な参加者でも、少なくともジェダと首輪に抗えないレベルまで能力を落とされているのだ。 この正体はジェダが敷き詰めた自身の魔力である。 即ちかつてインデックスが見抜いた通り、法則が違うあらゆる界の魔法を同時に運用する為のフィールドでもある。 この世界におけるありとあらゆる異能はジェダの掌の上にあるからこそ動けるのだ。 その程度を制限する事も、容易い。 しかしこれにより制限できるのは比較的単純な能力だけである。 人外の身体能力、気、魔法、超能力、全てを等しく制限できる反面、 個別な特殊能力を制限しきる事が出来ないのだ。 そこでもう一つ、首輪により課されている個別の制限が存在する。 首輪には所謂呪いの一種が刻まれているのである。 これは様々な道具等を使い参加者の前歴を完全に洗った上で設定した物で、 前者の制限フィールドによる基本能力制限の微調整も兼ねている。 微調整といってもフィールドの制限は大雑把な物であるため、ケースによっては大きな差を生む。 割と理不尽かつ出鱈目に多種多様な能力を持っていたパタリロに至っては纏めて通常人間程度に制限してあるのだ。 首輪が外れたところで会場の制限がある以上そこまで脅威にはならないだろうが、一応バランスを考慮したのである。 まかり間違っても色々有って面倒だったというわけではない。 加えて首輪の制限は、それよりも特殊な能力に対して掛けられた部分が多い。 吸血鬼が無数の蝙蝠へと分離する事は出来ても、中枢部分を固め押さえて離さないといった具合だ。 物理攻撃を無効化する霧化に至っては封印してある。 これにより首輪の爆破を無効化する事も、首輪から抜ける事もできない。 また、別の話だが支給品で強化できる範囲でも首輪の爆発を防ぐ事はできない。 これは基本能力の強化では制限フィールドに妨げられ首輪の爆破に耐え切れない事と、 特殊効果の類も配慮した上で支給品に回しているからである。 制限下で首輪が爆発すれば死ぬはずなのだ。 なのにどうして、彼女は生き延びた? 増して自身はただの人間であるはずの太刀川ミミがどうやって。 首輪が爆発すれば死ぬ事を前提にするならば、太刀川ミミでは説明がつかない。 そもそも太刀川ミミの顔をした首輪が無い参加者は、本当に太刀川ミミなのだろうか? そう、ジェダがその答えに辿りつく。 冥王の手が事実に届いてしまう。 幾条もの偽りを超えて真実を掴み取ってしまう。 冥王の知性はあまりにも怜悧だった。 「生き延びたのはヴィクトリア=パワードか」 ジェダは真相に到達した。 確かQ-Beeが追加支給品として持って行った中には顔形を変えるような物が有ったはずだ。 それを使えばヴィクトリアが太刀川ミミに成りすますのは難しいことではないだろう。 ヴィクトリアは首輪を外し太刀川ミミに成りすまして生きている。 「だが」 ジェダはそこで止まらなかった。 薄っすらと笑みを浮かべ、呟きを漏らす。 「自分で言うのもおこがましいが 私は聡明なのだ……あきれるほどに」 そう、ジェダはもう一段踏み込んだ。 「君でも無理だろう? ヴィクトリア=パワード」 ヴィクトリアの持つ錬金術では首輪を外すに至らないだろう。 彼女には知識が有っても機材が不足していたはずだ。 機械的設備が無い場所で首輪解除を達成するには、恐らく魔法が必要になる。 ヴィクトリアが来た世界に錬金術は有ったが、魔法は存在していなかったはずだ。 もちろん支給品の中には有る程度の魔法を習得可能にする物もある。 だがそんな付け焼刃で首輪を外せたとは考えにくい。 何千何万人に一人という類稀なる適正を持ってでもいなければありえまい。 ならば誰が彼女の首輪を外した? 首輪を解除する方法を見つけたのは誰だ? ヴィクトリアの死が誤報だとすれば、その場には誰が居た? ジェダの知性はその者の名を告げた。 「君か。吸血鬼レミリア・スカーレット」 思えばレミリア・スカーレットの経緯は異常である。 ヴィクトリアすら殺害していなかったとすれば最早間違いない。 膨大な数の戦闘を積み重ねながら、殺害したのはあろう事かQ-Beeだけなのだ。 しかも彼女には前例がある。 夕方に起きたレベッカ宮本の吸血鬼化という些細なイレギュラーが。 レベッカ宮本の吸血鬼化。 すぐに修正されたため首輪から抜けたヴィクトリアとは雲泥の差が有るが、実を言えばあれもイレギュラーの一つだった。 生命の水などによる生態系の変化とは訳が違う。 幾ら生態系が変化しようとも、肉体が平常の生物の範疇であるならば首輪はバイタルサインを確認し続ける事ができる。 特殊な核鉄を心臓の代用にした場合も同様だ。 生命エネルギーで強引に維持している節は有るが、その肉体が生命活動を行っている事に違いは無い。 正確には首輪は、というよりもP-Beeが感知している。 着用させた時に有った、物理的にせよ魔術的にせよ生体反応を丸暗記し、それが途絶えれば死んだと判断する。 P-Beeの類稀なる触覚は密着している者の生体反応くらい余すことなく感じ取る事ができるのだ。 しかし吸血鬼、妖怪というものは肉体よりも精神に依存した生物なのである。 その肉体は精神により生かされているといっても過言ではない。 あまりにも命の形が違いすぎる。 本来そういう類の変化を起こすものは、全て会場から排除していたはずだった。 支給品にあるものでその類の変化を起こす事は出来ないし、参加者のそれも首輪の個別制限により封じていた。 例えば別の世界の吸血鬼であるエヴァンジェリンの場合、吸血による強化支配能力は制限してある。 スカーレット姉妹にあるもう一つの特性である、肉体が陽光に焼かれて生じる煙を吸った者が不死性を得る特性も制限してある。 それを吸った者は居なくとも、レミリアが日に焼かれた事は何度かあったのだ。 しかしスカーレット姉妹の吸血鬼化の特性は、過去一度たりとも効果を発揮した事が無かったのだ。 それどころか彼女達自身が望もうとも、その特性を発揮する事は出来なかった。 姉のレミリアはあまりの少食から。 妹のフランドールは生きた人間を木っ端微塵にせず吸血する加減が欠如していたから。 幾らジェダとて過去の記録にも当人の意識にも無い上に特異すぎる性質を封じきる事は出来なかった。 過去当人が望んでも出来なかった事であり、起きる可能性は低いと判断して大目に見る事にしたのだ。 その隙を突かれた。 消耗した空腹の時に失血死寸前の人間から血を吸い尽くす事で条件を満たしたのである。 首輪はあまりにも特異な変容を追跡する事が出来ず、かくしてレベッカ宮本は一時ジェダの探知から零れ出た。 それが大きな問題にならなかったのは、確認が容易であったからだ。 機能を停止していたとはいえ、首輪が付いている事に変わりは無いのである。 ジェダは魂の漏れからそれに気づくと、すぐさまQ-Beeに命じて休眠状態のP-Bee達に確認を呼びかけさせた。 結果、レベッカ宮本の体内に通常とは違う新たな命が流れているのを感知する事が出来、彼女の監視は復活した。 その際、レベッカ宮本は未だ生き続けている参加者としてバトルロワイアルへの継続参加を認めると共に、 実行者であるレミリア・スカーレットに対しても特別な処置を与える事は無かった。 吸血鬼化による変化が起きても自動的に反応を追跡するよう設定した事も有るし、 事前に予測しえたにも関わらずジェダが油断した結果である事を理解していたからだ。 恐らくレミリア・スカーレットは人の血を求めただけだろうし、その行為自体はバトルロワイアルを健全に進行させる。 そう考えていたのだ。 「闇に惑う幼子達よりは聡明な部類に入ると考えていたのだがね。実に残念だ」 しかしそうではない。 これだけの経歴が積み重なれば幾らなんでも確信に至る。 レミリアはジェダの儀式を瓦解させようとしていたのだ。 その為に吸血鬼化現象を試し、殺し合いに乗ったフリをしながら誰も殺さず、それどころかQ-Beeを倒した。 あまつさえ妹を殺した仇であるヴィクトリアまでも助けるとは予想外だった。 いや、もしかするとだからこそ助けたのかもしれない。 この島で一番助けるはずのない者だからこそ、裏をかくために。 レミリアの怒りは真っ直ぐとジェダ一人に向いていたのだ。 ならばジェダはどうするのか。 ここまで明確に反抗したレミリアをどう処置するのか。 (まずは罰を与えるところだが、私は寛大だ。しばらくは泳がせてあげよう) 答えは何もしない。 ただ、レミリアへの監視を強めるだけ。 もしもレミリアが他の参加者に怪しい行動を行ったらそのデータを採らなければならない。 レミリアが一体どういう手段で首輪を外したのかを調べる為に。 基本、ジェダはQ-Beeを通じてP-Beeにより参加者を監視している。 これでも大抵の場合は問題無いのだ。 P-Bee達は覗き窓から見た情報、耳にした情報を報告している。 場合によってはキーワードに反応して報告を行うようにも命じてある。 P-Beeの知性は低いため、そういったキーワードシステムが有効だったのだ。 『ご褒美をちょうだい』という後付けキーワードも反応するように、追加は容易だ。 例えば『首輪』というキーワードについても設定してある。 ただしこれを設定したのは第一放送の後である。 最初の内は身に付けられた首輪への戸惑いと恐怖から。首輪という単語が頻発すると予想できたからだ。 一方でそれ以降も会話に上るなら危険が有ると判断し、経過を見て監視ワードに設定した。 少し言い換えるだけで逃れられる事もネックだが、盗聴を警戒されなければ効果は有ると思われたのだ。 その結果、このキーワードは主にトマという参加者から多く検知された。 野上葵とトマとの会話。 既に死んでいるジュジュとの会話。 レベッカと会った時も、野上葵の首輪を取ろうとしている事が伝えられた。 何れもジェダの耳に入り、しかし気にする必要も無いと一笑に付した会話である。 野上葵の能力による首輪解除はそもそも首輪による制限が掛かっている限り不可能だった。 トマの予想は半分だけ外れ、能力制限の仕掛けは首輪“にも”仕込まれていたのだ。 ジュジュとの会話も、あくまで現実逃避だろう。 野上葵の首輪については恐らく死んでいるものだと思っていたのだが、これは逆に信用できず、 Q-Beeの死のせいで報告が途絶えていた事もあり、後からQ-Beeを調査に向かわせる必要が生じてしまった。 トマという参加者が首輪を外そうと足掻いている。 それだけだ。 監視ワードに入る内容はどれも足踏みをしている段階、気にする必要さえも無い。 日が過ぎてQ-Beeを生き返らしてからは殆ど検知されてすらいない。 『首輪』という発言が殆ど無いのだ。 リンクという参加者からも検知されたが、外す方法が見当もつかないと零す程度。 Q-Bee死亡中の報告が失われた──P-Beeに報告を覚えておくような事は出来なかった──のは気になるが、 今のところ、トマもリンクも問題のある段階ではないように思えた。 それよりもレミリアだ。 今回レミリアを監視する為に設定した条件は、キーワードではなく対象人物を指定したものだ。 レミリアの発言から行動の全てをジェダに報告するよう設定したのである。 (ヴィクトリア……いや、“太刀川ミミ”には新しい首輪を付けておくだけで良いだろう) “太刀川ミミ”には設定がヴィクトリア用の首輪を付けなければならない。 しかし薄っすらと彫られている名前などは太刀川ミミの名を使うとしよう。 首輪を付けなければならないが、レミリアを油断させる必要も有る。 たまたま“太刀川ミミ”を見つけて首輪を付けた、その程度に思わせておくのだ。 放送の名前もヴィクトリアの方を呼んでやろう。 首輪を付けに行くのはその時が良いだろう。 そうやってジェダは巧緻な策謀を張り巡らせていく。 (さあ、レミリア・スカーレット。その真実を私に委ねるのだ) 冥王城の奥深く、殺し合いの主人はほくそ笑む。 その推理の絶対を信じて。 余談であるが。 今のところ、ジェダ・ドーマは気づいていない。 いつの間にか新たにもう一組のイレギュラーが生まれていることに。 蒼星石とチャチャゼロのチェンジリング。 それは本来起こるはずもない事だから。 もちろんそれは蒼星石の魔力変質が予想外だったからでもある。 エヴァのドール契約自体は、少なくとも新たに従者を作り出す事は制限されていた。 これは意志が吹き込まれる部分などが制限により機能停止していたという意味である。 それ以上に制限する必要は無いと思われていたし、制限すれば他の魔法の使用まで支障を来たしていた。 チャチャゼロを材料に他の人形の参加者の治療に使うというのは応用的で、完全に想定外の使い方だったのである。 何よりもその結果として魔力が変質する程の劇的な症状が出るとは予想だにしなかった。 それは魔術的に高度な要素が複雑に絡み合った結果、偶発的に起きた現象なのである。 だがそれよりもチャチャゼロに起きていた現象こそ劇的だった。 実を言うとジェダは、一定以上の魂が含まれない事を条件に支給品を集めていた。 魂には重みという物が有る。 同じ種族ですら、Q-Beeは一人分に誤認されてもP-Beeのそれが誤差にすらならないように、 支給品“達”の魂は全て破壊されようとも参加者一人分にさえ満たないはずだったのだ。 実際、他の意志有る支給品が破壊された時の魂に誤差は出ていない。 にも関わらずチャチャゼロの魂には参加者一人分を満たす程の重みが有った。 考えられる事は幾つかある。 エヴァが近くに居た事で、魔力が流れ込まずとも何らかの強化に繋がったのかもしれない。 死んだというより仮死、あるいは擬死状態とでもいうべき状態から神体に吸引され、 魂が無理矢理引き剥がされて呑み込まれた事も一因と言えるかもしれない。 だがもっと単純に考えるならば、こうだ。 これまで数百年エヴァと共に歩んで来て成長しなかった魂が、僅か一日で急激に育っていたのだ。 そんな事は普通に考えるならありえない。 “人型である事から参加者と同じく魂を練磨する儀式の影響を受けたとしても”そこまでの成長は想定外だ。 だが事実、チャチャゼロの魂はそれほどの重みを持っていた。 だから気づけなかったのだ。 有り得ないと思われていた事が起きたから。 ジェダはチャチャゼロを甘く見ていたのだろう。 たかが人形がささやかな奇跡を起こしていたなんて思いもしなかったのだから。 儀式はあるべき形へと効率的に進んでいた。 誰が思うよりも劇的に、速やかに。 混迷は全ての真実を覆い隠していく……。 ≪274 目撃者と追跡者 時系列順に読む 276 蒼星石/Lapislazuri Stern≫ ≪274 目撃者と追跡者 投下順に読む 276 蒼星石/Lapislazuri Stern≫
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SW/S49-026 カード名:アクバー提督 カテゴリ:キャラ 色:黄 レベル:2 コスト:2 トリガー:1 パワー:3500 ソウル:2 特徴:《ジェダイの帰還》? 【永】 応援 このカードの前のあなたのキャラすべてに、パワーを+1500。 【自】 このカードが手札から舞台に置かれた時、あなたの手札が相手の手札より少ないなら、あなたは自分の山札の上から1枚を、ストック置場に置いてよい。 罠にはまった! レアリティ:C STAR WARS収録
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永宝千晶 出演作品 Disney+映画 LEGO スター・ウォーズ ホリデー・スペシャル*(レイ*) 実写 スター・ウォーズ フォースの覚醒(レイ*【デイジー・リドリー】)スター・ウォーズ 最後のジェダイ(レイ*【デイジー・リドリー】) スター・ウォーズ スカイウォーカーの夜明け(レイ*【デイジー・リドリー】) マーベル・シネマティック・ユニバース*シビル・ウォー キャプテン・アメリカ* マレフィセント2(ゲルダ)
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登録日:2022/02/03 Thu 12 00 00 更新日:2024/02/26 Mon 18 59 10NEW! 所要時間:約 25 分で読めます ▽タグ一覧 EP2 STAR_WARS SW ありそうでなかった項目 クローントルーパー ジャンゴ・フェット スター・ウォーズ トゥルーマンダロリアン ドゥークー伯爵 ボバ・フェット マンダロア マンダロリアン 分離主義勢力 名誉 独立星系連合 賞金稼ぎ 金田明夫 「宇宙に自分の足跡(そくせき)を残しておきたくてな」 【概要】 ジャンゴ・フェット(Jango Fett)とは、スター・ウォーズ・シリーズの登場人物。 銀河共和国のクローントルーパーの原型となった人物でもあり、ボバ・フェットの父親(クローン元)でもある。 映画本編ではEP2のみの登場だが、人気キャラ・ボバの父親という立場や、映画での活躍などから人気は高い。 【概要】 【人物】◆種族 ◆性格 ◆能力 【経歴】◆前歴 ◆トゥルーマンダロリアンのリーダー ◆賞金稼ぎへの転身 ◆バンド・ゴラ追跡 ◆クローントルーパー計画 ◆カミーノの生活 ◆パドメ・アミダラ暗殺指令 ◆オビ=ワン・ケノービとの戦い ◆ジオノーシスの戦い ◆死後 【余談】 【人物】 ◆種族 「今度こそ確実に仕留めねば。クライアントがいらついてる」 戦闘民族マンダロリアン出身の賞金稼ぎ。 長年にわたって修羅場を潜り抜けており、顔にも多くの古傷が刻まれている。 また前腕には刺青を彫っている。作中世界でも珍しいデザインと評判らしい。 髪と目の色はいずれも黒。 戦闘時には、青と銀のマンダロア装甲服を全身にまとう。 実は背丈はあまり高くなく、オビ=ワンとの会話シーンでもジャンゴの側が見上げている(*1)。 言語は主にベーシック(銀河系標準語)を使うが、もちろんマンドア語も習得している。EP2でボバにマンドア語で話しかける場面がある。 ◆性格 「最高の軍隊だ。俺が保証する」 レジェンズ設定ではYBB66の生まれ、つまりEP2では44歳となっている(カノンでは「不明」)。 そのためEP2ではいい大人となっており、基本的に穏やかな口調で他者と会話している。 ただし依頼に対しては真摯で、その実現のためなら暗殺・不意打ちも平気で行うし、助けられないと見れば長年付き合ったパートナーを切り捨てることさえ辞さない。 実力がすなわち資産となる辺境域・暗黒街で、荒事を生計にして過ごしているため腕っぷしは強く、その実力に見合ったプライドを持ち、状況によっては相手を圧迫・恫喝もする。 荒事を卒業できるほどの資産がありながら、結局足を洗って平和に生きるという発想に至らず、荒事を続けるあたり、命を使うギリギリの境涯を好む、好戦的な一面もある模様。 ただ、カノン分類作品「クローンウォーズ」で登場した旧友ホンドー・オナカーの発言によると「なによりも名誉を重んじて行動した」という。 基本的に賞金稼ぎは暗黒街の人間であり、欲望のために荒っぽい手段・卑劣なふるまいも好んで取るということで、多くの人から疎まれる(オビ=ワン曰く「誰だって嫌い」)のだが、 ジャンゴはそれだけではなく、精神性を重んじるところもあったようだ。 実際、「デスウォッチ」首領プレ・ヴィズラのような野蛮さを見せることはなく、EP2ではどちらかと言うと物静かな雰囲気も出していた。 ……まあいくら「名誉を重んじる」とは言っても「騎士道精神を持つ」とかいうわけではなく、あくまでも「賞金稼ぎ・傭兵としての名誉」であり、手段に関してはそれこそ暗殺・不意打ち何でもありだし、ロクでもない奴と見做せば平気で殺しもするが。 また「息子」ボバのことは深く愛しており、自分の持てる知識を教え込み、その成長を喜ぶ親らしい一面も持つ。 レジェンズ分類となった過去作品では、普段はそっけない態度を取りつつも恩師や仲間のことを大事に思い、そうした恩師を裏切り仲間に危害を加えた相手に、激しい憤怒を燃やす一幕もあった。 ◆能力 「俺が最強だ。常にな」 マンダロリアンのメンバーとして、指折りの戦闘能力を持つ。 なによりジャンゴを強者と位置付けているのは、彼がマンダロリアンの装備をフルに駆使する技量があるからだった。 主な装備は、マンダロリアンの典型的な戦闘服。 彼の鎧は美しいシルバーと青い縁取りが印象的なもので、クローンウォーズ等で登場したほかのマンダロリアンに比べても色彩が鮮やかになっている。 武器としては、二丁のブラスターを主力として、右前腕部の火炎放射器、左前腕部の捕獲用ロープ発射装置(*2)、背面部には飛行用のジェットパック、ジェットパックに搭載するミサイル(*3)、両方の前腕部に装着するナイフ(スパイク兼用)、といった多彩な武器を仕込んでいる。 火炎放射器を応用して薄い隔壁やシャッターを焼き切るのに使ったり、ジェットパックが使えない場合には捕獲用ロープを応用して障害物を乗り越えたり、と機転も利く。 愛用のブラスターは軽量化のため徹底的に肉抜きを行っており、片手でも素早く抜け、かつ射撃中にわずかずつ手首を動かして射撃軸を変えることができ、この技でジェダイの「射軸の先読み」さえも突破して射殺できる。 しかしこの「徹底的な肉抜き」の結果、構造が脆くなったようで、すぐ壊れるらしい。 もっとも特徴的なのは背中に背負うジェットパック。 強力なロケット噴射装置によって、ごく短期間ながらかなりのスピードで空を飛べる。 劇中では、敵の追手から逃れるための緊急離脱用や、空中に滞空しての爆撃用などで活躍した。 特に一対一での戦闘においては、普通の相手が地上を走ることでの二次元的な戦いになるのに、ジャンゴは任意に飛行・浮遊することで三次元的な戦いを強いることができ、敗色濃厚となれば容易に離脱もできるため、ジャンゴを強力な戦士とする要因になった。 またジャンゴはこのジェットパックを複数所持しており、カミーノで喪失した直後のジオノーシスですでに新しいジェットパックを装着していた。 ただ、このジェットパックは精密機械のため、ダメージに弱く、損傷によって機能不全に陥りやすい。 そしてジャンゴの戦闘は、良くも悪くもこのジェットパックに依存する傾向にあり、それが彼の命脈を断つことにもなった。 また、装填できる燃料には限りがあること、ジェットパックを使った戦闘は着地が難しいこと、下手すると高所から墜落して大ダメージを負いかねないこと、といった難点も多い。 そのほか、ヘルメットに遠視用カメラを装着したり、開錠用のピッキングツールを所有したりと、さまざまな装備を備える。 所有する宇宙船は「スレーヴI」。 これは、任務中に侵入した監獄施設に配備されていた宇宙船を強奪したもの。 命名はジャンゴ自身が行ったのだが、その意味は「奴隷一号」であるため、聞いた友人からは「ひどい名前付けたもんだねえ!」と呆れられた。 なかなか強力な船なのだが、着陸時には機体を直角に90度傾けて着陸する、という奇妙な船のため、乗り降りは難しそうである。 また出入り口のハッチが上下に微妙に狭いため、ジャンゴは思いっきり頭を打ってしまう場面があった。 本船はジャンゴの死後、ボバの愛機となった。 ボバ幼少期は、ボバの後見人となったオーラ・シングに貸与されていた時期もある。 「スレーヴI」入手前は「ジャスターズ・レガシー」と名付けた旧式宇宙船に乗っていた。 これはジャンゴの養父ジャスター・メリールの乗っていた船で、ジャンゴは養父の遺産を旧式のボロ船と分かっていながら愛用し続けた。 しかしバンド・ゴラ追跡中、攻め込んだ監獄施設で発見され、警備隊によって破壊される。 その代替として奪ったのが上記の「スレーヴI」。 「ジャスターズ・レガシー」といい「スレーヴI」といいネーミングセンスは悪いのかもしれない 【経歴】 ◆前歴 「近くの町まで、案内するよ……食料やパワーセルを買うなら、奴らはそこにいるはずだ……」 YBB66生まれ。出身はマンダロア星系の惑星コンコード・ドーン。実家は農家兼ジャーニーマンプロテクター(コンコード・ドーンにおける警察のようなもの)で、父母のほかに姉がひとりいた。 しかし当時のマンダロア星系では、「マンダロリアン内戦」という激しい内紛が勃発していた。 事の発端は、マンダロアの戦闘文化を巡る対立である。 詳細は マンダロリアンの項目に譲るが、 マンダロリアン古来の、破壊・殺戮・略奪を肯定する伝統保守派「デスウォッチ」 破壊だけではない、高度な規律を備えた名誉ある戦士文化を提唱した「トゥルーマンダロリアン」 戦闘文化そのものを否定し、非武装・完全平和主義を提唱した「ニューマンダロリアン」 の三つの思想グループが現れ、お互いを否定しあい、際限なき内戦に陥っていたのだ。 ジャンゴを含むフェット家は、故郷の惑星コンコード・ドーンで農夫をしていたが、心情はトゥルーマンダロリアンを支持していた。 そんなとき、トゥルーマンダロリアンの首領ジャスター・メリールと、彼を殺そうとするデスウォッチの首領トア・ヴィズラの部隊が、フェット家の農地で交戦。 フェット家はジャスターをかくまって逃がしたが、それゆえにデスウォッチの部隊に踏み込まれ、両親は殺害され姉は拉致される(ヴィズラの言動から殺されたと思われる)。 生き残ったのはジャスターたちを農地の灌漑水道に誘導していたジャンゴだけで、ジャスターは「自分たちを助けてくれた家族の忘れ形見」となったジャンゴ少年を自らの養子として、マンダロリアンに迎え入れた。 やがてジャンゴは、持ち前の機敏さと戦士の才能を開花させていき、また養父ジャスターがトゥルーマンダロリアンのリーダーということもあって、いまだ少年ながら有望な幹部候補生として、成長していった。 ◆トゥルーマンダロリアンのリーダー 「総督に報告してくる。暴動は終わったのだ、報奨金を支払ってもらわねばな……」 しかしBBY52、惑星コルダ6の戦いで、トゥルーマンダロリアンは現地政府と結託したデスウォッチの罠に嵌り大敗、養父にしてリーダーであるジャスターも戦死する。 ジャンゴは、危機に陥った養父をわざと見殺しにしたモントロスを弾劾して彼を追放させ、代わって自らがトゥルーマンダロリアンのリーダーとなった。 ちなみにこの時14歳だが、マンダロリアンでは成人と見做される年らしい。 しかし、トゥルーマンダロリアンの武運はやはり尽きていたのかもしれない。 コルダ6でジャスターを討ったデスウォッチは、トゥルーマンダロリアンを追い落とす謀略に、さらなる磨きをかけていたのだ。 彼らが動いたのは44BBY。EP1の12年前である。 ジャンゴは当時22歳。若さゆえの力はあっても、老獪さを身に付けたトア・ヴィズラの謀略を読み切るには、まだ若すぎたのか。 デスウォッチは、まず銀河各地で派手な破壊活動・殺戮を繰り広げる。しかも、それをトゥルーマンダロアの軍隊であるかのように見せかけていた。 分裂しても同じマンダロアである。兵器も共通しているし、誤認させるのは容易だったろう。 そしてそのうえで、ひそかに結託していた惑星ガリドラーンの政府に、銀河共和国に向けて「マンダロア軍が罪もない民間人を殺害している。もはや現地政府では手に負えない。銀河共和国のジェダイ部隊の派遣を請う」と言わせた。 同時に、惑星ガリドラーン政府はトゥルーマンダロリアンに連絡を取った。「惑星ガリドラーンで、反体制テロリストが暴れている。高度な規律を備えた傭兵部隊であるトゥルーマンダロアに、救援を依頼したい」と。 これで銀河共和国とジェダイ騎士団は「トゥルーマンダロアの討伐」を決意。 惑星ガリドラーンの雪原にて、ジェダイマスター・ドゥークー率いる精鋭ジェダイ部隊が、その場にいたトゥルーマンダロアの部隊を攻撃した。 (この時のジェダイ部隊のメンバーは、ドゥークーと彼の直弟子コマリ・ヴォサのほか、ジョカスタ・ヌーや評議員入りする前のメイス・ウィンドゥらしき人物もいる) ジャンゴもジェダイを数名討ち取るほどに暴れたが、ついに敗北して捕縛され、トゥルーマンダロアはここに滅亡した。 ◆賞金稼ぎへの転身 「ジャンゴ。ねえ、あんた働き過ぎよ。もう賞金稼ぎなんてやめなよ。おカネならあるだろ? どうして身を固めて落ち着こうとしないのかねえ? 人生は短いんだよ!? 別の仕事だってあるさ!」 「俺にはこれしかないんでな。…………」 惑星ガリドラーンで虜囚となったジャンゴだが、彼ほどの男が奴隷で満足するはずがなく、隙を見て脱走。 さらに自分をハメたガリドラーンの総督も尋問し、彼が飾っていたマンダロリアンの装甲服も奪還(*4)、デスウォッチの頭目トア・ヴィズラの居場所も聞き出した。 ジャンゴは惑星コレリアでとうとうヴィズラを見付け、死闘の果てについに彼を討ち取った。 しかし復讐こそ済ませたものの、ジャスターが理想を託したトゥルーマンダロアは全滅してもはや復興は絶望的となり、他方のデスウォッチもトゥルーマンダロアとの戦いで戦力を使い果たし、壊滅同然となって姿を消してしまった。 結果として本星マンダロアは、平和主義勢力「ニューマンダロリアン」が支配下に置くことになった。 ここに至り、ジャンゴはマンダロリアンとしての道を半ば諦めたようである。 彼はもう故郷には戻らず、銀河の闇社会に身を沈め、賞金稼ぎとして身を立てるようになった。 もともとマンダロアは(デスウォッチを含めて)強大な戦力を持つ傭兵として活躍してきた歴史がある。 またジャンゴは、短い期間ながらも一派の長として、いくらかの依頼も受けてきた。 そのため、銀河辺境域ではすでに幅広い名声と人脈を持っており、その高い実力も相まって、銀河指折りの賞金稼ぎとして知られるようになっていった。 同業者たちにも一目置かれる存在となっており、ホンドー・オナカー、キャド・ベイン、オーラ・シングなどの錚々たる人物とも親交を持った。 暗黒街の元締めの一人でもある女性トイダリアンのロザッタという人物とは特に親しく、彼女の拠点「アウトランドステーション」にはよく出入りし、彼女から仕事の依頼や情報支援などを受けて、活動していた。 一方、かつて養父から授かった「高い規律を持った戦士の教え」は忘れていなかったらしい。 具体的なことは不明だが、後年のホンドー・オナカーは「ジャンゴが一番大事にしたのは名誉だった」と述懐している。 ◆バンド・ゴラ追跡 「俺を雇ったのはティラナスってやつだ。ボクデンの月でな」 32BBY、遠く惑星ナブーで通商連合との間で紛争が起きた年。 ロザッタおよびジャンゴのもとに、「ティラナス」を名乗る老人から依頼が届いた。 目標は麻薬密売組織バンド・ゴラの女リーダー、コマリ・ヴォサ。懸賞金額は500万クレジット。生死は問わず。 500万クレジットとは暗黒街でも破格のレートだが、コマリ・ヴォサが相手となるとロザッタまでもが受諾に反対。 しかしジャンゴは、返り討ちにあっても構わんと言わんばかりの態度で依頼を請け負った。 実働役のジャンゴが動くならしょうがない、とロザッタも参加し、バンド・ゴラの流通させている麻薬の成分や販売網を探って、後方支援を開始。 ジャンゴは直接現地に赴いて調査、抵抗があれば排除しつつ、コルサントからタトゥーインまで各地を巡り、ガーデュラ・ザ・ハットを筆頭とするバンド・ゴラのネットワークを探り潰していった。 変身種族クローダイト出身のザム・ウェセルと出会ったのも、この追跡途中である。 しかし、ティラナスからコマリ討伐依頼を受けたのはジャンゴだけではなかった。 もう二十年も前、惑星コルダ6の戦いでジャスター・メリールを裏切った、あのモントロスのもとにも、ティラナスからの依頼が来ていたのだ。 同じ組織の出身者が、同じ目標を狙って、同じ手口を使っていれば、再会するのは当然だった。 ジャンゴ、モントロス、バンド・ゴラの三つ巴の戦いの果てに、ロザッタがモントロスに襲撃され、拷問の果てに命を落とす。 普段はつれない態度を取りながらも、心の奥底ではロザッタを愛していたジャンゴは、養父に続いて二重の怨敵となったモントロスに激怒。 ついに到着したバンド・ゴラの本拠地、惑星ボグデンの衛星コルマにて追いつき、決闘の果てにモントロスを惨殺する。 そしてその先のバンド・ゴラの居城に攻め込み、暗黒面のフォースと二本のライトセーバーを振るう女ダークジェダイ、コマリ・ヴォサと交戦。 一度はフォースの力によって捕縛されるが、ザム・ウェセルによって救出され、反撃を開始。 城の最奥の瞑想室にてコマリと交戦し、ついに彼女を撃破した。 ◆クローントルーパー計画 「……申し出を受けようティラナス。ただし条件がある」 その直後、コマリ・ヴォサがより強力なフォースによって絞め殺された。 いぶかしむジャンゴの背後に、依頼主だったティラナス――俗名ドゥークー、コマリの元マスターだった老ジェダイが現れる。 「ティラナス」は、コマリ暗殺依頼の報酬500万クレジットは鷹揚に支払ったが、それとは別に「もう一つの依頼」を提示した。 曰く、ティラナスはこのたび、クローン技術による最強の兵団を作るつもりである。そのクローン兵団のベースとなる遺伝子をジャンゴに提供してもらいたい。かつての我が愛弟子コマリ・ヴォサを打ち破るほどの男こそ、最強のクローン兵団の始祖にふさわしい、と。 ジャンゴは、クローン軍団やクローニングによる疑似的な永遠の命とやらには関心が無いようだったが、ティラナスの話から「一つの条件」を提示する。 「自分用に一体のクローンを作ってほしい、一切調整しない、純粋なクローンを」と。 ティラナスにも予想外の願いだったようだが、ジャンゴが理由を語ると、納得して「クローン契約」を結ぶことになった。 その「純粋なクローン」を、ジャンゴは「ボバ・フェット」と名付け、自身の息子とした。 ジャンゴの表情から察するに、ティラナスの演説のうち「クローン兵団はジャンゴが訓練をつけることもできる」という言葉に反応している。ロザッタも死に、女を抱いて子供を作るつもりもないが、ロザッタの遺言に思うところがあり、こういう形でも「息子」「家族」を作れれば、何か変わるかもしれない、と思ったのだろう。 ちなみに「自分用の純粋なクローン一体を貰う」というのとは別に、ティラナスが最初に提示した「クローンの遺伝子提供者になってくれるなら追加報酬」という条件も、ちゃんと付帯されている。 その追加報酬のお値段は2000万クレジット。コマリ討伐と合わせて、総計2500万クレジットがジャンゴの口座に振り込まれたのである。戦艦でも作れそうな額だが、それをポンと出せるセレノー伯爵家の富裕さもすさまじい。 さて、ここまでのジャンゴの経歴のうち、ここまでの部分はもっぱらレジェンズ分類作品で語られた。 こうした設定のうち、カノン設定にどれほど残っているかは不明であるが、カノン作品に分類されたものおよびカノン分類として制作された近年の作品に限っても、 「マンダロア星系の惑星コンコード・ドーンの出身」 「マンダロリアンのファウンドリング(孤児)として育ち、ジャスター・メリールの養子となった」 「マンダロリアン内戦にも参加した」 「その行動や精神は『名誉』を重んじた」 「ボグデンの月でティラナスと遺伝子提供契約を結び、この一件で巨万の富を得た」 以上の点が明確に再設定されている。 ここからの部分は、映画EP2を中心として原則カノン分類の情報である。 ◆カミーノの生活 以後のジャンゴは、惑星カミーノの首都ティポカシティに移り住む。 ティポカシティーは十数年前にヒーゴ・ダマスク(去年没した)という資産家によって莫大な投資を受けており、設備はどこも最新鋭、住民も礼儀正しく、いろいろ人間には合わない点こそあれ、裕福と言っていい生活ができた。 ジャンゴ自身の資産についても、なにせ2500万クレジットを手にしたばかりである。今やジャンゴは、一生贅沢しても使いきれないレベルの金持ちなのだ。 しかしジャンゴは、そんな完璧な生活基盤を手にしながらも、ふらりとカミーノを離れては再び暗黒街に戻り、賞金稼ぎの仕事を続けていた。 稼ぐ必要もないほどのカネを持ちながら、修羅場を忘れられないようだった。 ただ、このころのジャンゴの側には常にボバがいた。 ジャンゴはボバを使い捨てのクローンではなく弟子・息子として遇し、自分の持っている戦士のスキルや知識を伝授していった。 賞金稼ぎ稼業を続けたのも、自分が戦いを忘れられないというのもあっただろうが、実戦を通じて息子を育てようとしていたようである。 そしてそうした生活を送るうちに、ジャンゴはボバに対して「息子」「家族」としての愛情を抱くようになる。 ザム・ウェセルとの縁も続いた。 彼女は賞金稼ぎとしてはまだ経験が薄かったため、いわば先輩となるジャンゴと組み、彼から支援を受けたり、あるいは知識・技術・心構えなどを伝授してもらいながら、経験を積むようになった。 彼女は割と明るい性格なので、幼いボバとも打ち解けたらしい。 ティラナスとの縁も続いた。 ティラナスは「ドゥークー伯爵」として、水面下で分離主義運動を開始しており、ジャンゴはティラナスの護衛兼助手として、暗黒街の組織や銀河系に名だたる大企業・大組織と接触していった。 その過程で、企業側からの極秘依頼を頼まれることもあった。 そしてカミーノに戻れば、ジャンゴは「クローントルーパー」と名付けられた自分の分身たちに、遺伝子と軍事知識を授けていった。 特に、「銀河最強の戦闘民族」マンダロリアンの戦闘技術は、クローントルーパーの戦闘能力を大きく引き上げた。 カミーノ人は見ての通り肉体が貧弱で、戦闘技術などは持っていなかったため、ジャンゴの功績は非常に大きかった。 もっとも、クローントルーパーは常人の二倍の速度で成長するとはいえ、生後五年ぐらいでは人間換算でも十歳程度であり、戦闘知識なぞ授けようもない。 そのためこちらはすぐには始まらず、後回しにされたと思われる。 クローントルーパーの戦闘服も、ジャンゴの持つマンダロリアンの戦闘服をアレンジしたものとなった。 この鎧は、はるか後年のストームトルーパーにも影響を残している。 とにかく、このころのジャンゴは以前と変わらず賞金稼ぎとして修羅場をくぐり続けていた。 既に巨万の富を持ち、賞金稼ぎなどという荒仕事から引退するだけの余裕があるにもかかわらず、足を洗わない姿は、本心を語らない無口さも相まって、他の賞金稼ぎから奇異の目で見られていた模様。 しかし「変わらない賞金稼ぎ」であるジャンゴも、内面では徐々に変わっていく点もあった。 特に、息子ボバとの縁が深くなるにつれ、かつてのどこか荒んでいた精神は徐々にだが丸くなっていったらしい。 ◆パドメ・アミダラ暗殺指令 「ザム。今度はしくじるなよ」 22BBY、ナブー危機およびバンド・ゴラ崩壊から十年。 ジャンゴ・フェットは新たな依頼を受けた。 目標は銀河元老院議員パドメ・アミダラの暗殺。依頼主は通商連合の総督ヌート・ガンレイ。 もともとガンレイは、ドゥークーが主導する「分離主義勢力」に加盟を求められていた。そこで彼は「加盟してほしいなら、まずはパドメ・アミダラを暗殺してくれ」とドゥークーに依頼し、ドゥークーはそれをジャンゴに仲介した、という次第。 この頃にはジャンゴはドゥークーから全幅の信頼を置かれていた。 依頼を受けたジャンゴは、まずは今や相棒に近いザム・ウェセルを招いて、いわば下請けにする形で、彼女に仕事を回した。 ザムは変身能力と潜入技術を駆使して惑星ナブーに忍び込み、パドメ議員の専用宇宙船に爆薬を仕掛けることに成功した。 ところが、パドメの警備主任グレガー・タイフォが影武者を立てていたため、宇宙船と影武者は爆破したものの、肝心のパドメは無傷。 ジャンゴはザムに接触し、任務失敗を叱責しつつも特殊な毒虫を授け、もう一度依頼を任せる。 しかしこの第二次暗殺も、パドメの護衛として増派されたジェダイ、オビ=ワン・ケノービとアナキン・スカイウォーカーに妨害された。 ジャンゴは逃げるザムをフォローするべくコルサントの歓楽街を駆け抜けたが、ついにザムはジェダイ師弟に敗れて生け捕りにされてしまった。 ジャンゴは、ザムの救出は不可能と判断し、彼女が口を割る寸前に毒矢を放ってザムを殺害。次いでジェットパックを吹かし、すぐさま現場を去り、コルサントからも去った。 毒矢を放った彼の姿はジェダイに目撃されたものの、全身を鎧兜で覆っていたため、この時点では顔が割れなかった。 ◆オビ=ワン・ケノービとの戦い 「踏ん張ってろ。小惑星帯に入る。奴に一泡吹かせてやろう」 一方ジェダイ側は、パドメの護衛は弟子のアナキン・スカイウォーカーだけが務め、オビ=ワン・ケノービが殺し屋の調査を開始した。 オビ=ワンはジャンゴが放った毒矢を解析し、それが惑星カミーノ製のものと把握。ジェダイスターファイターでカミーノまでやってきた。 カミーノ首脳部はオビ=ワンを歓迎しており、ジャンゴもオビ=ワンとの面会の場を持つ羽目になった。 が、ジャンゴはヘルメットを外した素顔でオビ=ワンと堂々応対し、オビ=ワンの質問もやり過ごした(*5)。 しかし自分の青い装甲服をここでも見られたこともあり、追及は避けられないと見たジャンゴは、ただちにカミーノからの脱出を決意。 離陸直前には、やはり引き返したオビ=ワンに挑まれる。シスの暗黒卿ダース・モールをも倒したオビ=ワンはさすがに手強く、またオビ=ワンがジャンゴとワイヤーで繋がっているのにジャンゴを崖から蹴り落とすという大ポカをやらかしたことで丸ごと落ちかけるが、なんとか前腕部に仕込んだナイフで崖に留まると、ワイヤーを切り落としてオビ=ワンを撃退し、カミーノから飛び立った。 そしてスレーヴIに乗り込む際に頭を強打する。 しかしオビ=ワンもさるもので、飛び立つスレーヴIに発信機を投げて取り付けていた。 ただちにオビ=ワンはスターファイターに乗ってスレーヴIを追い、追手に気付いたフェット親子も激しい迎撃を開始したが、オビ=ワンの撃墜反応を偽装と見抜けず、とうとう元締・ドゥークー伯爵のいる惑星ジオノーシスまで踏み込まれてしまった。 (もっともドゥークーにとっては、カミーノのクローントルーパーぐらいはそろそろ気付いてもらいたかったのだから、結果オーライとなった) ◆ジオノーシスの戦い 「動くな、ジェダイ」 ジオノーシスに帰還したジャンゴは、ドゥークーの護衛・助手という立場に戻る。 とはいえ、この時のドゥークーは分離主義勢力による連合国家「独立星系連合」の発足作業、つまり外交的な交渉作業に入っており、ジャンゴには「護衛」としても「助手」としても特にやることがなかった。休憩のようなものか。 カットシーンでは、ドゥークーの背後で護衛のように立つジャンゴの場面もあった。 また、パドメ暗殺依頼を連合加盟の条件とするガンレイ総督もここにいたが、ドゥークーの交渉の結果、パドメ暗殺が未達成ながらも、ガンレイは連合に署名した。 ジャンゴはこうしたドゥークーの鮮やかな交渉を感心しながら見ていたらしい。 ここまで追ってきたオビ=ワンも、ドロイディカ小隊が捕縛。 次いで、オビ=ワン救出のためアナキン・スカイウォーカーとパドメ・アミダラも到着するが、ふたりも工場の機械やジオノーシアン兵士たちに翻弄されたあげく、パドメはジオノーシアン部隊に、アナキンはジャンゴが率いるドロイディカ中隊に捕えられた。 その後、捕虜となった三名はジオノーシス政府主導のもと、ペトラナキ・アリーナでの猛獣による処刑が決定。 ジャンゴはボバを伴い、ドゥークー伯爵、ポグル・ザ・レッサー、ヌート・ガンレイらと共に、アリーナの貴賓席から処刑を見守った。 一応「護衛」という立場だが、ジャンゴはヘルメットも外してリラックスしており、むしろ貴賓客としての扱いだった模様。 ボバはアクレイに興味津々だった。 また捕虜たちが猛獣を圧倒し始めると、焦るガンレイからパドメを殺せと命令を受けるが、ドゥークーがガンレイをなだめて不発となる。 だがその宴席のさなか、突如ジャンゴの喉元に紫色の光刃が突き付けられる。 ジェダイ評議会の重鎮メイス・ウィンドゥ、そして彼を筆頭とする200人のジェダイ部隊が、オビ=ワン救出とドゥークー討伐のため現れたのだ。 しかし、対するドゥークーもバトルドロイド部隊を出撃させて応戦。 メイスがジャンゴやドゥークーから離れてドロイド迎撃の構えに移ると、ジャンゴもおもむろにヘルメットを被り戦闘態勢に。 ジャンゴはまず火炎放射器で目の前のメイスを貴賓席から地上へと追い落とす。 さらに乱戦中、ジェダイマスターのコールマン・トレバーがドゥークーを討つべく貴賓席へと上がり込むと、ジャンゴは素早くブラスターを抜いて攻撃。 わずか三発の連射で、コールマン・トレバーを射殺した。 この鮮やかな手並みにはドゥークーも満足げな微笑みを向けている。 そして乱戦のさなか、メイス・ウィンドゥがジオノーシスの猛獣リークに追われ始めたのを目撃すると、ジャンゴはジェットパックを噴射して出撃。メイスの眼前に現れる。 しかし、ちょうどメイスがリークにふっ飛ばされたライトセイバーを、奪うため飛びついたのがミスとなる。 飛びついた瞬間にメイスがフォースでライトセイバーを手元に呼び込み、ジャンゴは不様に地面に倒れる羽目になる。 さらにその倒れた体勢のままリークの突進に巻き込まれてしまい、ジャンゴは数メートルに渡って転がされた。 それでもなんとか立ち上がったジャンゴは、再突撃を掛けるリークに対して冷静にブラスターを撃ち込む。 放ったのはたった一発だったが、その一発は見事に急所を撃ち抜き、この巨獣にとどめを刺した。 だが、ジャンゴの命運もここで尽きた。 ジャンゴがリークに手間取っているあいだに、ライトセイバーを拾い直したメイス・ウィンドゥが下段に構えて突撃を掛けていたのだ。 ジャンゴはブラスターで迎撃するが、ジェダイ騎士団でも最強を誇るメイスは光弾をあっさり反射して肉薄。 ジャンゴはとっさにジェットパックで離脱を図るが、リークの突進で破損していたジェットパックは乏しい火花しか吹かなかった。 次の瞬間、紫の光刃が二閃し、ジャンゴの右手と頭部が、胴体から離れた。 ジャンゴの戦死を目撃したドゥークーはそれまで優雅に組んでいた腕が弾かれたように解けて穏やかな微笑が凍り付き、息子ボバは愕然と立ち尽くす。 程なくしてジェダイ部隊は敗北、間一髪でクローントルーパーの援軍が到着して、戦場は惑星全土へと移行し、アリーナから生きている人はいなくなった。 その跡地となった戦場で、ボバは父の頭も抜けてしまったヘルメットを、ひとり静かに拾い上げていた…… ◆死後 ジャンゴ亡きあと、孤児となったボバは父と縁故のあった賞金稼ぎたちを頼り、オーラ・シングらのもとで揉まれながら、暗黒街の賞金稼ぎとして大成していく。 父の遺した戦闘服も保存しており、ボバが成人後に着ていたボロボロの戦闘服は父のものである。 また父を殺したジェダイ、特にメイス・ウィンドゥへの憎悪をも募らせており、クローン大戦中には暗殺計画を練っている。 ドゥークーもジャンゴの息子ボバには思うところがあったのか、仕事を斡旋したり話を聞いたりしている。 一方、ジャンゴの遺伝子から作られたクローントルーパーは、自分たちの原型であるジャンゴが死んでもこれといった反応は見せなかった。しかし、彼から受け継がれる戦士の血に誇りを抱いており、作中でも『誇り高き戦士の血』『自慢の遺伝子』と彼のことを誇りに思っている描写が見受けられる。 一方、製造の面に関しては影響はあり、ジャンゴという遺伝子提供者がいなくなってしまったため、ジャンゴ型クローンの安定した新規製造ができなくなるという結果も生まれた。 【余談】 EP2でジャンゴがメイスに敗れた直後、ヘルメットが地面に転がり落ちるシーンに繋がる。 このヘルメットが落ちる寸前をコマ送りにすると、ヘルメットの影から別の物体の影が飛び出し、画面外に吹っ飛んでいくのが確認できる。 ボバが拾い上げるヘルメットは、中身が入っていない模様。 「クローンウォーズ」にて、惑星マンダロアのニューマンダロリアン政府が登場した際、ジャンゴ・フェットとの関わりを一切否定した。 それはいいのだが、この際に「フェットは単なる賞金稼ぎ、どこかでマンダロリアン・アーマーを盗んで手に入れたのだろう」と発言する場面があった。 そのため、一時「ジャンゴ・フェットはマンダロリアンではない」という説まで浮かび上がっていた。 ニュー政府がそんな発言をした真意は不明だが、少なくともジャンゴは「ニューマンダロリアンの一員」だった時期は存在しないため、政府側が中途半端な断言をしたものと思われる。 現在は、「ジャンゴはジャスター・メリールの養子として入ったマンダロリアンである」と定義されている。 「これからどうすんの?」 「端末だ。追記・修正をする」 △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] 追々、ジャスター・メリール、トア・ヴィズラ、モントロスも投稿予定です。 -- 作成者 (2022-02-03 12 02 52) ボバがヘルメット拾い上げるシーンは「母さんです」的なやつを彷彿とさせたけど、頭自体は別に吹っ飛んでたのか。初めて知った。 -- 名無しさん (2022-02-03 12 11 43) ↑2それなら他の人がそれらを作る前に新規項目申請ページで書いといた方がいいと思う。ここで言っても何かしらの効力は無い -- 名無しさん (2022-02-03 12 15 12) ゲーム版の記述が入っている +1000000点 -- 名無しさん (2022-02-03 13 05 02) ↑4あんまりこういうことを言いたくはないですけど、作成者と名乗りつつのそういうコメントは『コメント時のルール』の「消される、規制されるコメント例」にあった「立て主アピール」に当たるのでは?失礼なことを言って大変すいません。 -- 名無しさん (2022-02-03 18 03 55) 「作成者ですが、ここで○○を作る予定です」とか宣言しても予約効果は無いし、何なら既に指摘の通り万一でトラブルの元にもなりかねないかと……あ、記事の内容はジャンゴの意外な過去が知れて良かったです -- 名無しさん (2022-02-04 18 26 37) クローンへの遺伝子提供者がドゥークーの側にいたことにジェダイはなんの疑問も抱かなかったんだろうか? -- 名無しさん (2022-02-04 20 31 27) 骨の髄までマンダロリアンだったのね…。 -- 名無しさん (2022-02-04 21 11 46) 金田明夫氏もまさかジャンゴ役の後20年間クローン兵演じまくることになるとは思わなかったかもな -- 名無しさん (2022-02-04 21 24 26) ↑しかも本職は声優ではないという -- 名無しさん (2022-02-07 00 50 00) ↑4 初めて観た時からずっとそれが気になってる。EP2自体はアクション多めでわりと好きなんだけど、ストーリー展開はだいぶ納得できない。 -- 名無しさん (2022-11-24 06 45 00) マンダロリアンのジェダイやシスがいたらクソ強いんだろうなあって思う -- 名無しさん (2022-12-25 09 06 35) ジャスター・メリールの項目は自分が作ろうと思ってたんですけど、ここのコメント見たら他の人が作ろうとしてるみたいなので、やめにします…… -- 名無しさん (2023-04-20 19 17 07)
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